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【EURO2016総括】大会の振り返りとポルトガルが優勝できた理由を考えてみた。

ポルトガルの初優勝で幕を閉じたEURO2016。約一ヶ月に渡って行われた熱戦を総括していきたい。

ルールの変更

まず前大会まで異なり参加国が16⇒24に増加した。そしてグループ3位でも他グループの結果によって決勝トーナメントへ進出できるルールが採用。

グループステージを終えて各グループの3位同士の順位はこうなった。

1位 グループB スロバキア 勝ち点4(1勝1分1敗 得失点差0)
2位 グループE アイルランド 勝ち点4(1勝1分1敗 得失点差−2)
3位 グループF ポルトガル 勝ち点3(3分 得失点差0)
4位 グループC 北アイルランド 勝ち点3(1勝2敗 得失点差0)
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5位 グループD トルコ 勝ち点3(1勝2敗2 得失点差−2)
6位 グループA アルバニア 勝ち点3(1勝2敗 得失点差−2)
※アルバニアよりトルコが得点多いため同得失点差ながら順位はトルコが上

上位4カ国が決勝トーナメントに進出。優勝したポルトガルはこの3位同士の順位でも3位という成績。

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ルール変更のメリット・デメリット

多くのチームにチャンスが与えられたことはメリット。アイスランドの躍進はフレッシュに感じた。しかしデメリットもあり、決勝トーナメントの山が極端に偏ってしまった。

一回戦でイタリア対スペインなんてカードは嬉しいが、もう少し上のステージで見たいのがサッカーファンの心情だろう。

大会を振り返って

これといった番狂わせは見られなかった。グループステージでベルギーがイタリアに負けたことも、決勝トーナメント一回戦でイングランドがアイスランドに負けたことも”世紀の番狂わせ”というほどのインパクトではない。

それ以上に気になったのが面白いゲームの少なさ。例えば、試合前に事実上の決勝戦と持ち上げていたドイツ対イタリア戦。PK戦こそ盛り上がったものの、試合そのものは眠くなる展開だった。この試合だけでなく、大会が進むに連れてどの国も慎重な試合運びを選んだ結果、点が生まれにくい凡戦続きだったことは残念。

要因として攻撃サッカーを志向するスペインが決勝トーナメント一回戦で去ったこと、オランダがいなかったこともあるだろうが、一番は先に説明した参加国が増えたことで対戦カードに実力差が生まれ、守備に気を配る国が多かったためと考えてる。

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DFの質

強豪国のDFは存在感があった。優勝したポルトガルのぺぺ、ドイツ代表のフンメルス、ボアテング(関係ないけどボアテングってGENERATIONSの関口メンディーに似てる)、イタリアのBBC(バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ)。

フンメルスやボヌッチは前線へのフィードも素晴らしい。こういうDFの存在は、移籍市場でも価値のある選手としてグングン評価が上がっている。

大型FWのポストプレーが戻って0トップは消滅

フランスのオリビエ・ジルー、ドイツのマリオ・ゴメス、イタリアのグラツィアーノ・ペッレと、ポストプレーを得意とする選手が目立っていた。一方、少し前に流行ったMFを最前線に置く”0トップ”を採用するチームは0。

面白いのが決勝トーナメントに入ってからのポルトガル。ウインガータイプのクリスティアーノ・ロナウドとナニに2トップを組ませ、どちらかが中央、どちらかがサイドに流れて起点を作り、センターフォワード不足を誤魔化した。

司令塔はどこへ?

先に説明したDFのフィード能力が向上したことで、足元にボールが収まらないと仕事のできないMFに活躍の場はない。フランスのムサ・シソコ、ディミトリ・パイエのように、自ら前へ運べてパスありシュートありの選手が重宝される傾向にある。

まだ司令塔もいるにはいる。しかし、ドイツのトニ・クロース、メスト・エジルや、クロアチアのルカ・モドリッチ、イバン・ラキティッチと、ポゼッションサッカーを展開する強豪国に限定され、弱小国やポゼッションに優れない国は走れる選手を使っている印象。

総力戦

決勝のポルトガルVSフランスの試合を見た方は分かると思うが、前半終了間際辺りからフランスのペースは落ちた。後半や延長もフランスがボールを支配していたが、明らかに疲労の色が見えていた。対してポルトガルは徐々に調子を上げていき、延長後半にエデルがゴールを決めた。この差はなんだったのだろうか?

決勝までの道のりで見ていこう。

決勝トーナメント1回戦⇒両国共に6月26日
準々決勝⇒ポルトガルは7月1日(中4日)、フランスは7月4日(中7日)
準決勝⇒ポルトガルは7月7日(中5日)、フランスは7月8日(中4日)
決勝⇒7月11日
※全て日本時間

ポルトガルは決勝トーナメント1回戦、準々決勝で120分戦い、フランスは準決勝から決勝までの日がポルトガルより1日短いという部分を考慮すると、どっちが極端に有利ということにはならない。

しかし、幸か不幸かポルトガルは決勝までの道のりが険しかった。勝ち切れないグループステージ、2試合連続延長線を戦った消耗、DFの柱ぺぺの負傷…監督は試合ごとにスタメンを代えざるを得なかった。結果として大会全7試合に先発出場した選手はGKのルイ・パトリシオ、FWのクリスティアーノ・ロナウドとナニの3人のみ。6試合に先発した選手が2人、5試合で2人と試合ごとにスタメンの組み合わせはバラけている。狙い通りではないだろうが、順調に勝ち進まなかったことで、自然とローテーション制で勝ち進むことができた。

一方のフランスは7試合全てに先発した選手はGKのウーゴ・ロリス、DFのローラン・コシールニー、パトリス・エブラ、バカリ・サニャの4人と、ポルトガルと大きく変わらないものの、6試合に先発した選手が5人もいる。その5人のうち4人は先発しなくても途中から出場しており、スタメンの9人は実質固定されていた。

勝ってるチームはいじるな

サッカー界で有名な格言通り、デシャン監督は変更しなかった。恐らくデシャン監督でなくても変更しなかっただろう。今大会のフランスは内容はともかく、順調に勝ち上がったことで大幅なシステムやメンバー変更の必要がなかった。しかし、最後の最後でガス欠した(ように感じる)のは、先発を固定してきた代償がないとは言い切れない。これが短期決戦の難しいところ。

決勝トーナメント1回戦でイタリアに敗れたスペインも、グループステージから4試合連続で同じスタメンで戦った影響で足が重かった。週一ペースで行われれば違った結果になった可能性はあるが、こういう短期決戦の戦い方はどの強豪国も課題となる。

ベストイレブン

欧州サッカー連盟(UEFA)が発表した、EURO2016のベストイレブンは以下の通り。

GK
ルイ・パトリシオ(ポルトガル)

DF
ヨシュア・キミッヒ(ドイツ)
ジェローム・ボアテング(ドイツ)
ペペ(ポルトガル)
ラファエウ・ゲレイロ(ポルトガル)

MF
トニ・クロース(ドイツ)
ジョー・アレン(ウェールズ)
アントワーヌ・グリーズマン(フランス)
アーロン・ラムジー(ウェールズ)
ディミトリ・パイエ(フランス)

FW
クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)

MVPはフランスのグリーズマン。

ベイルが入ってないのはあれ?だけど。

EURO2016を終えて

ポルトガルがこれから過去のスペインのように黄金期を迎えるとは思わない。今回は様々な要因が重なっての優勝なので、一時的にFIFAランキングは上がるだろうけど。

準優勝に終わったフランスはどうだろうか。大会前はレアル・マドリードのカリム・ベンゼマを招集しないことで大丈夫か?となったが、グリーズマンが中央で使われてから完成形を見つけたが、ドイツ戦は運もあったので“強豪国に戻った”と決めつけるのは早計。

現世界王者のドイツはストライカー不足が顕著に出た大会だった。今回はマリオ・ゴメスが奮闘したものの、クローゼの後に続くストライカーがいないのは懸念材料。

グループステージのトルコ戦でパーフェクトな試合をしたものの、その後連敗で大会を後にしたスペインはどうなるか?モラタが前線の核になりそうな気配を感じることができたが、膠着状態の時に打開策を見つけられてない。

限られたメンバーで奮闘したイタリアは、ユベントスの選手で組んだDFラインでどこまでやっていくか。代表レベルの若手が少ないのはロシアW杯に向けて何とかしたい。時間ないけど。

期待していたイングランドは若手が増えた分、こういう大きな大会での経験不足を露呈してしまった。しかし、この経験を活かして今後飛躍する可能性は十分にある。ただ、イングランドは伝統的に勝負弱いので、このままずっと期待を裏切りそうな気もする笑。

以上。

この大会に出ていた選手が活躍する欧州サッカーの新シーズンが今から楽しみ。

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