2018年のJ1も4試合を消化した。多くの試合を見てきたが、ポステコグルー新監督率いる横浜F・マリノスのハイプレス&ハイライン&ポゼッションサッカーが圧倒的に面白い。
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2018年の横浜F・マリノス
2017年に中村俊輔が横浜F・マリノスからジュビロ磐田へ移籍した際にこんな記事を書いた。
中村俊輔のジュビロ磐田移籍は必然だった?横浜F・マリノスのフロントがアマチュアレベルで笑えない。
成績も酷くなると予想したが、結果は年間5位と見る目のなさを露呈してしまった。
中村俊輔というクラブの顔は失ったものの、代わりに背番号10を付けた齋藤学と2年目となるマルティノスの両ウイングを中心に奮闘。ワイドなサッカーでシーズン中盤から上昇気流に乗り、悪くないシーズンを送った。
最後まで優勝争いには参加できなかったが、シーズン前のゴタゴタを考えれば及第点以上のシーズンだったに違いない。
そして2018年ー
チームは2017年に両翼を担っていたに齋藤学とマルティノを一度に失った。柏から大津祐樹を獲得したものの、下降気味な選手なので過度な期待はできないことに加え、開幕前に怪我をしてしまう。FCソウルからユン・イルロクを獲得したものの、齋藤学&マルティノスの放出は想像以上にダメージになると予想した。
結果は・・・4試合消化時点で1勝1分2敗の勝ち点4で12位。成績だけみれば予想通りに苦戦しているように見えるが、実際は成績よりも良い印象。何より選手達の口から出てくる言葉はポジティブである。
ヒヤリとするシーンだった。79分、浦和レッズの青木拓也が左からパスを受けると、顔を上げてゴールの位置を確認した。すると…
他のチームは開幕直後やACL・ルヴァンカップという日程もあってか、慎重で退屈なサッカーをしているが、横浜F・マリノスは非常にアグレッシブである。
そのサッカーは、ハイプレス&ハイライン&ポゼッションだ。
ディフェンスラインは常時高く、奪ったボールは中盤の扇原貴宏や天野純を中心にボールを回して相手の隙を突く。ディフェンスラインが高いので、サイドバックはオーバーラップだけでなく、中盤のハイプレスやパス回しにも参加している。
昨日の浦和レッズ戦はボール支配率62%を記録。浦和が泥沼状態ということを差し引いても、アウェイの地でこのポゼッション率は素晴らしい。
【公式】ハイライト:浦和レッズvs横浜F・マリノス 明治安田生命J1リーグ 第4節 2018/3/18
デメリットとしてはハイラインなので、カウンター攻撃に弱いことと、夏場以降どこまでハイプレスが機能するか未知数なところだろう。
次にキープレイヤーを。
隠れ司令塔【山中亮輔】
開幕戦のセレッソ大阪戦で素晴らしいゴールを決め、浦和レッズ戦でウーゴ・ヴィエイラの決勝ゴールをアシストした山中亮輔が素晴らしい。
【公式】ゴール動画:山中 亮輔(横浜FM)17分 セレッソ大阪vs横浜F・マリノス 明治安田生命J1リーグ 第1節 2018/2/25
攻撃時はボランチのようなポジションを取ってポゼッションに参加する他、本業のサイドバックとしても機を見た攻め上がりとキック精度の高さで攻撃を支えている。
中盤のパサーに目が行きがちだが、山中亮輔こそ横浜F・マリノスの隠れ司令塔だ。トップ下などのバイタルエリアから遠い位置にいるので、捕まえるのも難しいだろう。いずれ代表のサイドバック争いに参加してくる選手である。
生粋のストライカー【ウーゴ・ヴィエイラ】
現代サッカーはFWに様々な役割が求められる。ポストプレー、チェイシング(守備)、囮となる動き、中盤に下がってパス回しに参加。そのため、どのFWも器用貧乏になりがちだが、ウーゴ・ヴィエイラは違う。
【完全版】2017シーズン ウーゴ・ヴィエイラ 全18ゴール / Hugo Vieira – Yokohama F・Marinos 2017 All 18 Goals
これぞストライカーとばかりに、シュートを打つ以外の貢献度はすこぶる低い。その分、ゴール前では抜群のポジショニングとボールの持ち方でシュートコースを作りゴールを奪っていく。その【職業ストライカー】という姿は古き良き時代のサッカーを思わせる。昨シーズンはベンチに甘んじることもあったが、今季はよりゴールチャンスが訪れそうなので、今後のゴール量産にも期待したい。
日本版ノイアー【飯倉大樹】
今シーズンGKの飯倉は忙しい。GKとしての仕事は勿論、ドイツ代表GKノイアーのようにフィールドプレイヤーとしもプレーしている。GKが1試合における走行距離が平均約5kmに対し、飯倉の走行距離は7km。
決して簡単ではないが、スイーパーとしても問題なく機能している。何より本人が前向きに取り組んでいる姿勢が素晴らしい。
短期間でチームを変えたポステコグルーという名の名将
短期間でチームを変えたポステコグルー監督の存在に触れないわけにはいかない。
元オーストラリア代表の監督ということ以外はあまり情報がなかったこと、今オフに齋藤学とマルティノスが抜けたことで、開幕前の横浜F・マリノスに対するイメージはよくなかった。その評価を、たった数試合で変えた手腕は見事である。
内容を重視したサッカーで結果が出ないと方向転換を求められたり、最悪解任というケースもあったりするので、昨日浦和レッズに勝利したことは大きかった。今後Jで台風の目として注目し続けたい。
優勝争いは無理だろうけど・・・
ここまでべた褒めしてきたが、優勝争いに参加する可能性は低い。今後他チームがディフェンスライン裏を執拗に狙うだろうし、夏場に今のプレスがかけらるとは思ってないからだ。その時にどういうアクションを起こせるかによるが、まだ優勝争いに参加する程の力はない。
それでも、現在ピッチで展開しているサッカーは「スタジアムで見たい!」と思わせてくれる。
最後に第3節で対戦したサガン鳥栖のGK権田修一のコメントを。
「ここから先、マリノスはもしかしたらJリーグの中で1、2を争う面白いサッカーをやっているかもしれないと僕は思います。どこかで本当に形になったら止められないチームになる可能性もある。次回対戦する時に、うちがそれにどう勝つかをまた考えなきゃいけないので難しい反面、完成したマリノスに勝てたらうちとしては自信になるので、楽しみだなと思いますね」
現在内容と結果を残しているのは川崎フロンターレで間違いないが、ポステコグルー監督のサッカーが熟成されたた時、その川崎フロンターレをポゼッションで上回る試合が見れるかもしれない。
その時は神奈川ダービーが無茶苦茶盛り上がるんだろうなぁ。