国際体操連盟(FIG)はこのほど、2019年世界選手権男子3冠のニキータ・ナゴルニー選手が編み出した、床運動の「後方屈身3回宙返り」を最高難度「I難度」の新技「ナゴルニー」に認定しました。
床運動では世界でたった1つだけの超絶に難しい技「ナゴルニー」とは?動画でご紹介するとともに、この名が付いた由来も調査しました。(出典:Wikipedia、スポーツメディアなど)
体操の最高難度ナゴルニーとは?
1960-70年代にかけ、オリンピックや世界選手権で男子団体総合10連勝を成し遂げるなど、昔から日本がとても得意にする体操競技。世界の頂点に君臨した当時は「体操ニッポン」「お家芸」と謳われ、もちろん今でも東京五輪のメダル最有望競技の一つでもあります。
体操競技の難度とは
そもそも体操競技とは体全身の動きと難しさ、美しさを競うもの。五輪などでは男子は床運動(ゆか)・鞍馬(あん馬)・吊り輪(つり輪)・跳馬・平行棒・鉄棒の6種目があり、審判による採点の合計を個人や団体で争います。
判定される技はFIGが認定、男子では最も簡単な「A」から最高難度の「I」まで、難しさがアルファベット順に9段階上がっていきます。複雑すぎるのでここではご紹介しませんが、D・Eスコアなど配点、得点法も細かく規定されています。
ナゴルニーとは
ナゴルニーとは、このほどFIGが認定した床運動の新技で、言い換えると「後方屈身3回宙返り」。ちょっと読んだだけではどんな技か皆目分かりませんが、体操技はFIGによって独特な決まり事があります。
体操技の正式名は原則「後方・前方・○回宙返り・○回ひねり」など演技内容を粛々と並べただけのもの。ただ呼びにくいこともあり、FIG認定の国際大会で選手が新技を事前申請し、実際に成功させると、その選手の姓が通称名になります。
ちなみに床運動ではこれまで「シライ3(後方伸身2回宙返り3回ひねり)」などの「H」が最高難度で、その上の「I」は唯一の初登場となります。
ナゴルニー選手の経歴
こんなもの凄い大技を考えて成功させたナゴルニーとはどんな選手なのでしょうか。彼はロシア出身24歳。祖母の勧めで6歳から体操を始め、シニアデビューは15年。16年のリオ五輪では代表に選ばれ、国の団体銀メダル獲得に貢献しました。
世界選手権金メダル3個、欧州選手権金8個など、床だけでなくさまざまな種目で1位を獲得している実力選手。東京五輪でもメダル候補で、日本の大きなライバルの一人といえそうです。
で、ナゴルニーとはどんな技なの?ともかく百聞は一見に如かず。次項でナゴルニーの動画を見てみましょう。
床運動I難度ナゴルニーの動画
ジャジャーン。では床運動で世界最高難度、唯一の「I」という超スーパー難しい技の動画を以下にご紹介しましょう。演技者はもちろんナゴルニー選手自身です(今現在はナゴルニー選手しかできないのでw)。
↓FIG公式Twitter
↓FIG公式の解説動画
最高難度ナゴルニーに関する海外の反応
- OMG!言葉も出ない。でも誰かがこれをできるとすれば、それは彼だ。動画アップロードしてくれてありがとう!
- これを見るのをやめられないよ。彼のテクニックは信じられないほど。何か遠くに、スローに感じる
- このヤングマン、明らかにほとんどの人が付いてない場所に筋肉があるな
- 金メダルにまっしぐら
- 格好いい!彼の奥さん羨ましい
出典:YouTube
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 体操・床運動で最高難度の大技「I難度」のナゴルニーをFIGが認定
- ロシアのナゴルニー選手が初成功。シライ3のHを超えて唯一のIランク
- 言葉で説明すると「後方屈身3回宙返り」。分からないので動画どうぞ
体操競技の発祥は1811年のドイツと、意外に新しいのだそうです。今の器械の原形となる木・棒・あん馬・平行棒で腕自慢の若者が技を沢山作り、競い合ったのが始まり。
体一つでできるプリミティブなスポーツのため、軍隊訓練などにも広がり、その後学校の体育や子供達の遊びの一環として鉄棒・跳び箱・マット・雲梯・ジャングルジムなどで普及しました。
そうした競技の「頂点」ともいえる「I難度」。ここまで来るとほぼ人間業とは思えない曲芸に近く「これCGじゃね?」と言いそうな凄さですが、ナゴルニー以外にももう一つだけ、世界にI難度技があります。
それは何と日本名!宮地秀享選手が創出した鉄棒の「伸身コバチ2回ひねり」=「ミヤチ」です。日本の誇りともいえるその超最高難度動画を最後にご紹介して終わります。