硬水と軟水の違いは?取れる場所によってそもそも質が違う?

ミネラルウォーターなどのラベルを見ると書いてある「軟水」「硬水」の記述。

軟水と硬水があるのは知ってるけど、その違いまで知っている方は少ないのではないでしょうか。

「軟水と硬水ってそんなに違うの?」
「水道水って、軟水?硬水?」
「ダイエットに効くのは軟水?硬水?」


そんな疑問をサクっと解決!
今回は硬水と軟水の違いを調査しました。

軟水と硬水は何によって決まる?

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硬度よって決められている

軟水と硬水の違いは、「硬度」の違いです。

硬度というのは、お水1Lあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量を数値化したものです。
軟水・硬水の基準は国や地域によって異なり、日本の基準とWHOの基準でも差があります。

日本では一般的に硬度100未満を軟水、硬度100以上を硬水とされています。
一方、WHO(世界保健機関)が定める基準では硬度60未満が軟水、硬度60以上が硬水とされています。WHOの基準では硬水は3段階に分けられます。

日本の一般的な定義

軟水硬度100未満
硬水硬度100以上
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WHO(世界保健機関)での定義

軟水硬度60未満
中程度の硬水硬度60~120
硬水硬度120~180
非常な硬水硬度180以上

硬度の計算方法

硬度は、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの含有量ですが、具体的にはどのように導きだされるのでしょうか。

硬度の計算方法にはアメリカ硬度、ドイツ硬度、フランス硬度、イギリス硬度などがありますが、日本では「アメリカ硬度」を採用しています。

アメリカ硬度

アメリカ硬度の計算式は下記です。

硬度(mg/Lまたはppm)=カルシウム量(mg/L)×2.5+マグネシウム量(mg/L)×4.1

例えば水1リットル中に
カルシウムを20mg、マグネシウムを10mg
含んでいる場合の硬度は

20(mg/L)×2.5+10(mg/L)×4.1=91(mg/L)なので

硬度は91と算出されます。

水のとれる場所によって硬度は違う

水は採水地の土壌や地盤、川の地理的特徴によってその硬度が決まります。

多くの場合、ミネラルウォーターは井戸を掘って地下からくみ上げます。よってミネラルウォーターの特徴は地下水の特徴を指すことになります。

降った雨が地下に染み込んで地下水となり、地下で土壌や岩盤に接することで硬度の正体であるミネラルが溶け、地下水は硬度を増します。

ヨーロッパの水は硬水が主です。
その理由はいくつかありますが、ヨーロッパの地形はなだらかで、降った雨の水は地下に染み込むとゆっくり移動して、その間に様々なミネラル、イオンが水に溶け出す時間があるためです。

日本で飲んでいる水道水や国産のミネラルウォーターはほとんどが軟水です。
日本の地層はミネラルの少ない火成岩が中心です。
また、険しい山脈が多く川の傾斜も急勾配で、源流から海までの距離が外国に比べて短くなっています。そのため、雨水が地面に浸透する間にあまりミネラルを吸収することが少なく、川や海に流れ出ていきます。

日本人には軟水が合っている

日本人には軟水が合っていると言われています。

硬度は水の味を変えます。
硬水はほのかに苦味を感じ、軟水はなめらかで口あたりのいい、何の味もない水です。

日本では普段飲んでいる水道水や国産のミネラルウォーターもほとんどが軟水なので、日本人には軟水が合うと言われています。

硬水のメリット・デメリット

硬水のメリット

ミネラルが豊富

日本人はミネラルが不足しがちと言われています。
硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムで手軽にミネラル補給が可能です。。

便秘解消

マグネシウムは下剤に使われていることもあり、マグネシウムを多く含む硬水は、消化器系に影響を与えて便通を良くする効果が期待できます。
便秘気味の人が硬水のミネラルウォーターを飲むことで、便秘が改善されるケースもあります。そのためダイエットをしている方が好んで飲まれているようです。

動脈硬化の予防

カルシウムやマグネシウムが多く含まれている硬水には、血液をさらさらにする効果があると言われていて、動脈硬化を予防して、心筋梗塞や脳梗塞といったリスクを減らすことが期待されています。

煮込み料理に合う

硬水には肉の臭みを消したり、煮込んだ時にアクを出やすくしたりする働きがありますが、和風の旨味成分といわれるアミノ酸やたんぱく質もアクとして出てしまうため、洋風の煮込み料理に適していると言われています。

硬水のデメリット

お腹がゆるくなる

胃腸が弱い人の場合は、硬水に多く含まれるマグネシウムの影響でお腹がゆるくなってしまうこともあります。

風味を生かした料理に向かない

硬水に多く含まれているマグネシウムには独特の苦みと風味、香りがあるため、料理の味付けの邪魔になることも。紅茶や珈琲など香りを楽しみたい飲料や、素材の風味を活かしたい料理には適していません。

硬水の商品

最近では日本でも硬水の商品が増えてきました。
エビアンやペリエなどは一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。

エビアン(1.5L*12本入)【エビアン(evian)】

軟水のメリット・デメリット

軟水のメリット

日本料理に合う

日本料理は素材を活かした繊細な味付けを魅力としています。
軟水は食材からダシの成分であるアミノ酸などが溶け出しやすく、日本食に向いています。
軟水は基本的に無味無臭ですから、日本料理や香りを楽しみたい飲み物には最適です。

赤ちゃんや小さな子どもでも安心

軟水はマグネシウムの含有量も少なく、内臓への負担が少ないことも特徴です。
お腹にも優しいため、赤ちゃんや小さな子どもにも安心して与えることができます。

また、赤ちゃんのミルクを作るときに使う水は軟水が望ましいとされます。
ミルクは赤ちゃんに理想的な栄養成分で調整されていて、ミネラルもミルクの中にあらかじめ含まれています。硬水を使うとその成分が過剰となり、必要量以上にミネラルを摂取してしまうため、軟水が勧められています。

肌にやさしい

軟水は肌や髪にも優しく、身体や髪を洗っても心配はほとんどありません。

海外でシャンプーをしたら髪がキシキシ・ゴワゴワになってしまったという経験はありませんか。
硬水で体や髪を洗うと、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの影響で、肌がつっぱったり髪がパサパサしたりすることがあります。

海水浴のあとに髪がバサバサになってしまうのも、海水に含まれるミネラルが影響しています。また、ミネラルは肌への刺激となり、肌荒れを招くこともあります。 シャンプーやスキンケアには、肌へ浸透しやすく刺激の少ない軟水を選びましょう。

泡立ちが良い

軟水は硬水と比べて石鹸や洗剤の泡立ちが良いのが特徴です。
洗濯の際に使用する水に適しています。

軟水のデメリット

ミネラル補給ができない

ミネラルには便秘やむくみを解消したり、筋肉の痙攣や足がつるのを予防するなどの効果がありますので、日頃から一定量摂取する必要があります。現代人が不足しがちと言われるマグネシウムやカルシウムなどのミネラルが少ない軟水では、多くの摂取は望めません。

軟水の商品

国産のミネラルウォーターはほとんどが軟水の商品になります。

ミネラルとは?日本の天然水に含まれるミネラル成分と栄養効果を解説

日本産のペットボトルの水は軟水で、赤ちゃんでも飲める水ばかりですね。

体に必要な栄養素であるミネラルは硬水の方がたくさん含まれているのですが、軟水にも様々なミネラル成分が含まれています。

では、日本の天然水に含まれるミネラル成分にはどのようなものがあり、どのような役割をするのでしょうか。
またウォーターサーバーの会社にも選ばれる5か所の名水と、その水に含まれるミネラル成分にはどのようなものがあるのか紹介します。

日本の天然水に含まれるミネラル成分は?

日本の天然水には以下の4大ミネラルといわれる成分が含まれています。

  • ナトリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • カリウム

ではまずナトリウムから解説します。
ナトリウムは人間の細胞の外側にあり、細胞の中と外のミネラルの浸透圧や水分バランスを保つ働きをしています。筋肉の収縮や神経の情報伝達、栄養素の吸収や搬送などにも関わり、血液・体液の循環量を調節しています。

過剰摂取をすると高血圧やがんなどの生活習慣病を引き起こし、多量発刊や下痢などで不足すると血液が濃くなったり疲労感を感じたり食欲不振に陥ったりします。
日常生活では食塩から摂取することが多く、一日の必要摂取量は18歳以上の女性なら6.5㎎未満、男性なら7.5㎎未満とされています。

カルシウムは、体重の約1%から2%を占めるほど、一番多く体内に存在するミネラル分です。そのうちのほとんどが骨や歯にあり、少し血液や筋肉などにもあります。カルシウムは小腸で吸収された後、骨や歯に滞在して構造や硬さを維持します。血液内に取り込まれたカルシウムは出血が起きない程度に血液の凝固を促し、ホルモンの細胞内に入ると生命を維持するためにホルモンや酵素の放出量を調整する役割もします。

カルシウムが不足すると骨密度が減って骨粗しょう症や変形性関節症になったり、手足のしびれやけいれんが起こり、心拍のリズムがくるって死に至ることもあります。また過剰摂取をした場合は、便秘や結石、腎不全や血管壁の石灰化が起こることがあります。
一日の必要摂取量は、成人の場合で上限が2,500㎎です。

マグネシウムは体内に約25gあり、そのうちの5割から6割は骨に、残りは筋肉や脳・神経に存在します。主に骨や歯でリンやカルシウムと共に硬さや構造を維持したり形成したり、補酵素として300種類以上の酵素が働くのをサポートします。またカルシウムと一緒になって血圧を下げたり血栓を作りにくくする働きもあります。

マグネシウムは体内で作ることはできないので、外から摂取する必要のある栄養素です。一日に必要な摂取量は成人で約350㎎とされています。
不足すると不整脈が生じたり、吐き気や精神障害も起こってきます。過剰摂取をしても尿と一緒に排泄されますが、腎機能が低下していれば吐き気や心電図以上が起こる可能性があります。

カリウムはほとんどが細胞内に存在していて、体内には全体で約200gあり、ナトリウムと共に細胞の浸透圧や水分量を維持しています。小腸で吸収された後は全身の組織に運ばれて、腎臓から排泄することで血中のカリウム濃度は一定に保たれます。

一日の摂取量は成人男性で2,500㎎、女性で2,000㎎とされていて、あまり不足することはなのですが、激しい脱水症状で不足した場合には脱力感や筋力低下、食欲不振が生じます。体内のカリウム量は保たれているので過剰摂取になることもありませんが、腎臓機能が低下している場合のみ四肢のしびれや心電図異常が現れ、重篤な場合は死に至ることがあります。

4大ミネラル以外の成分で、天然水によって含まれているもの

天然水によって含まれている場合があるという成分は以下の通りです。

  • バナジウム
  • 亜鉛
  • シリカ
  • サルフォート
  • 炭酸水素イオン

バナジウムというのは地中や海水の中に含まれている成分です。食品の中では牛乳やそばにも含まれていて、一日に1.8㎎以下までの摂取なら安全です。血糖値を下げたり動脈硬化を予防したり、むくみ改善に有効な成分です。

亜鉛は体内に約2,000㎎あり骨格筋や骨、皮膚や肝臓などに存在しています。体内では作り出せないので、外から摂取する必要がある成分です。新陳代謝やエネルギー代謝に関わっていて、抗酸化作用があり免疫機能を向上させる働きがあります。そのほか生殖機能を改善したり、うつ病の改善にも役立つ栄養素です。
一日の摂取量は成人男性で11㎎、女性は8㎎です。

シリカは肌や髪、血管や細胞の壁に含まれてコラーゲンやエラスチンを作って、肌をプルプルにしたり髪をきれいに保ったり、骨を丈夫にする働きがあります。
体内では作れないので外から補う必要があり、一日に10mから50㎎摂取すると良いといわれています。

サルフォートとは聞きなれない言葉ですが、ブロッコリーやジャガイモなどにも含まれる成分です。利尿や排便促進などデトックスに効果があるので、ダイエットをする人にはうれしい成分です。二日酔いの軽減にも効果がありますが、お腹の弱い方はお腹を壊すという副作用もあります。

炭酸水素イオンは、ナトリウムを含む鉱物と炭酸が反応してできる成分です。天然水や温泉水にも含まれます。若返りや疲労回復、むくみに効果があり、老化予防として知られる抗酸化作用もあります。

日本の名水5つに含まれるミネラル成分

 富士山北アルプス奈良・吉野兵庫・朝来南阿蘇
カルシウム1.510.831.71.20.89
ナトリウム1.240.560.90.80.54
マグネシウム0.510.190.350.20.33
カリウム0.100.110.080.10.32
バナジウム70    
亜鉛     
シリカ 27151449.7
サルフォート 59.910 
炭酸水素イオン     

プレミアムウォーターHPより引用
4大ミネラルは100mlあたりの成分量で、単位はmgです。
その他の成分は1,000当たりの成分量で、単位はmg、バナジウムと亜鉛はμgです。

日本ではバナジウムが含まれている天然水は、富士山周辺の水だけです。

ミネラルの4大成分はどの水にも含まれますが、含有量は場所によって異なります。

まとめ

軟水と硬水の違いは「硬度」の量の違い。

日本人がいつも飲んでいるのは軟水になりますが、軟水、硬水にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、必要に応じて使い分けるとよいでしょう。

 

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