森会長後任に誰が相応しいのか数々の候補者の名前が出ています。
英語力十分で、オリンピックに選手として、理事としての経験豊富な小谷実可子氏(54歳)が急浮上してきました。
小谷実可子氏のこれまでの経歴や英語力は、混迷極める現状を切り開いてゆく後任会長候補として十分期待できるのでしょうか?
英語でのスピーチ動画を含め、具体的に細かく見ていきます。
小谷実可子の英語力
小谷実可子の英語力はいかほどなのでしょう?
まず、東京五輪組織委員会会長が英語がペラペラであることは絶対要件なのでしょうか?
森前会長は、ご本人も認めているように、英語は全くダメでした。
「神の国」発言が批判されたころには、このジョークがメディアで広まり有名になりました(後にフェイクだと判明)。
森首相は、日米首脳会談の際、クリントン大統領に、まず会ったときに、「How are you?(ご機嫌いかが)」と言い、「I’m fine,and you ?」と返されたら、「Me too(私も)」とだけ言うように通訳からアドバイスされていましたが、会うとすぐ「Who Are You?(あなたは誰?)」と間違ってしまいました。
クリントン大統領は、苦笑しながらもユーモアだと受け止め、
「Well, I am Hilary’s husband.(ヒラリーの夫です)」と返すと、
森首相は・・なんと「Me too(私も)」
と答えたというものです。
次期会長として、英語ペラペラは絶対要件ではありませんが、高齢でなく、女性で、英語が堪能なら会長のイメージが大きく変わることは確かです。
小谷実可子氏の英語力を具体的に見てゆきましょう。
「2020年東京大会の安全性を語る銅メダリスト」のタイトルで、小谷実可子氏がスピーチするYoutubeがあります(2021/02/10)。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のスポーツディレクター、小谷実可子氏は、スポーツと競技が彼女の人生に与えた重要性を語り、オリンピックが日本に与えている影響について語っています(欧米メディアGZERO Mediaの取材)。
5分間にわたり、淀みなく英語でのスピーチをこなしていることが見て取れます。
小4でシンクロナイズド・スイミング(アーティスティックスイミング)を始めた小谷実可子氏は、高校1年生で単独米国へシンクロ留学しています。
日本代表となったソウル五輪では初の女性旗手を務め、ソロ・デュエットで銅メダルを獲得するなど国際舞台で広く活躍して、その中で英語力も磨いてきたと思われます。
長野五輪招致にかかわり、招致は叶わなかったものの、リオに決定前の日本招致団の一員としてのスピーチは、あえてブロークンな喋り方も取り入れたのではと思える素晴らしい喋りだったようです。
最近でも、2020年10月、組織委がIOC委員のセバスチャン・コー氏(64)らの海外派遣団を招いた際には、面談にハッピを着て飛び入り参加し、堪能な英語を駆使して来賓を大いに盛り上げたそうです。
数年前の、JOC によるNF国際フォーラムの後では、ご自身の英語について、「中学生の時は英語嫌いで劣等生だった私がシンクロでのアメリカ留学を経て、その後世界のスポーツ組織に身を置く機会をいただき、こんなふうにフォーラムでパネラーとして登壇させていただくなんて。人生わからないものです。でも世界の舞台に出ている人でも私のようにもともと流暢に英語を話すわけでもないのに勢いとタイミング、(そして気合で)なんとなく世界でもまれて友好の輪を広げていく。なんて人も多いようですよ。」と述べていました。
英語のスピーチやIOCのやり取りなどの会長業務には通訳抜きで全く問題がないようです。
小谷実可子の経歴
小谷実可子氏の経歴を海外とのかかわりや組織マネージメントからみてみましょう。
これまでの経歴
ソウル五輪 シンクロナイズドスイミング日本代表、初の女性旗手を務める。
ソロ・デュエットで銅メダルを獲得。
長野五輪 招致に携わる。
バルセロナ五輪 代表となったが、本番出場は叶わず、引退する。
引退後はスポーツコメンテーター、日本オリンピック委員会広報員、長野オリンピック広報員、国際オリンピック委員として活動。
1997年11月25日 国連総会に民間人として初めて出席し、スポーツと平和に関連する議題で講演し、長野冬季オリンピック開催期間中の停戦を求める「五輪停戦決議」が提議され、全会一致で採択されるのに寄与しました。
2016年1月25日、2016年リオデジャネイロオリンピック閉会式「フラッグハンドオーバーセレモニー」検討メンバー(アドバイス担当)に就任しました。
五輪・教育関連の要職に数々抜擢。世界大会のリポーター、東京2020招致アンバサダーを務めるなど国際的に活動してきました。
現在の主な役職と活動
・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 スポーツディレクター
・日本オリンピック委員会 理事
・日本オリンピック委員会 国際専門部会 部会長
・世界オリンピアンズ協会 理事
・日本オリンピアンズ協会 理事
・「大磯アーティスティックシンクロ」 主宰
小谷実可子が会長後任候補の理由
2020年9月30日に、スポーツ庁長官に就任する室伏広治氏に代わって、延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 スポーツディレクターに、就任しました。
室伏広治氏は2012年に国際オリンピック委員会の選手委員に立候補するなど、国際的な知名度抜群でありましたが、匹敵する顔として後任に抜擢されたということです。
スポーツディレクターの役割は、大会における競技運営の幹部として、IOC、IPC、各競技団体(IF、NF) 、各国オリンピック委員会(NOC)、各国パラリンピック委員会(NPC)との調整を行い、 また、組織委員会における競技部門の顔として、対外的な情報発信の役割を担うことです。
交渉力、マネージング力、表現力が十分ないととても務められないポジションだと考えられます。
現役引退後には人生観を変えた野生のイルカとの出会いを通じ、自然や動物に目を向けた活動を行い、1993年より神奈川県の大磯で“アーティスティックシンクロ”の指導を始め、シンクロの普及・指導を行っています。
またスポーツ中継のキャスター、リポーター、講演会、執筆活動など幅広く活動しており、2児の母としての奮闘が認められ、第3回ベストマザー賞2010ではスポーツ部門でベストマザーに選出されるなどしています。
以上を見ますと、組織委の武藤敏郎事務総長の述べた現在の状況ゆえの新会長の資質「五輪、パラリンピックについて何らかの経験があり、ジェンダーイコーリティー(男女平等)、ダイバーシティー(多様性)、インクルージョン(包括性)の認識が高い方」に当てはまるのではと思えます。
一方で、組織委員会に対して、批判を恐れず発信してきたJOC理事の山口香氏などに比べるとこれまで、組織委員会の現状を追認してきており、反対を押し切って、困難を極める改革ができるのか疑問という声もあります。
まとめ
- 小谷実可子の英語力は高校生でのシンクロ米国留学以来、国際大会、国際会議で磨かれたもので通訳なして交渉できるレベル
- 英語力に加えて、国際的な知名度があり、現在も組織委員会スポーツディレクターとして活躍し、自然や動物に目を向けた活動など幅広い視点を持ち、次期会長候補の資格は十分ある
- 批判を恐れず発信してきたJOC理事の山口香氏などに比べると、組織委員会の一員として、今回の問題にどんな声を挙げたか伝わってこないため、ジェンダーイコーリティーなどに欠ける組織を改革するための大胆なリーダーシップが発揮できるか疑問との声もある
後任の最有力候補に挙げられている橋本聖子五輪担当相(56)についても、五輪担当相を退く必要があり、過去の騒動なども浮上してきており、本人が受諾するかも不明です。
いずれにしても夏のオリンピックまで、半年。コロナ対策をどうするのか、観客を入れずに実施するのか中止かなど、組織委員会、東京都、日本政府に迫られている判断は眼の前に目白押しです。
このままズルズルと会長選びが混迷するようでしたら、オリンピック開催どころではなくなります。